クスノキ (くす)樟    くすのき科
2011年5月21日

  本州の暖かい地方に自生しており、当地でも里山のあちらこちらに自生している常緑の高木です。成長も早く大木になります。此の近くでも「長太の大クス」「堂が山の大クス」「水屋の大クス」「尾鷲神社の大クス」など天然記念物に指定されたクスノキの大木があります。
 
古市場の天王さんの社の後ろ古市場の天王さんの社にそびえるクスノキの大木にも大きくそびえています。また新緑が美しいので街路樹に植えられています。 昔、小古曽の「御堂壺社」という社があり、其処に大クスがあったが「御堂壺社」が小古曽神社に合祀されるとき、そのクスノキは売られ、買った人はその木から「樟脳」を作ったと言われています。

 クスノキは常緑樹ですから一年中青々とした葉をつけていますが其れは1年で入れ替わります。5月になり鮮やかな新緑の若葉を広げると入れ替わるように去年の葉が一斉に散り始めます。 新しい葉の表面を見ると基部の葉脈の分かれるところに小さなイボがあります。図鑑で調べてみると「虫嬰」と言って虫こぶのことで中にダニが入っているとのことでした。早速剃刀の刃でイボを切ってルーペで見たのですが虫は見つかりませんでした。大部分の葉にイボは有りますがないのもあります。これは他のクスノキ科の木にはないのでクスノキを見分ける目印になるそうです。

  クスノキの葉は全縁と言って葉の周りにギザギザの鋸歯が無く単葉ですが、時に葉の先が二つに分かれている葉があります。例えばカクレミノやヒイラギ等のように。
これは異型葉と言って、切られた枝から出る新芽などに見られますから、何か刺激を受けたところに出るのかと思います。 花は5月に咲きます。大きな木の割に小さな5mmにも足りない黄緑色の花で花被は六裂、雌蕊は1個、雄蕊は12個です沢山の花が円錐花序につきます。葉の先にたくさんの花をつけ常緑のクスノキもこの時ばかりは白っぽく見えます。
 

昔は衣類の虫除けに箪笥の引き出しにショウノウを入れました。樟脳はクスノキを乾留して採取していました。そのため専売法によって樟脳を採るため以外クスノキの伐採を禁じられたことも有りましたが、今はナフタリンなどいろいろな防虫剤がありますから専売法も無くなりました。それでも母はクスノキのチップを紙に包んで箪笥に入れていました。 クスノキは芳香があります。それが虫除けになったのですがクスノキの仲間には良い香りの木があります。クロモジ、ゲッケイジュ、などですがカナクギノキ、ダンコウバイ、ヤマコウバシなども僅かですが匂います。牧野図鑑によるとクスノキに楠を使うのは誤りで、楠は日本には無いそうです。



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