ノコンギク (野紺菊)              きく科
2010年11月25日

 きく科の植物は大変仲間が多くて世界では約20000種、日本の野生菊で約350種、帰化植物で約120種、園芸品種まで入れると大変な数になります。また、菊は「合弁花」といって花弁が一つに繫がっている小さな花が集まって一つの花のように見えますこれを「頭花」と言い、外側の花には花弁がありこれを「舌状花」、中側の花を「筒状花」といいます。それはヒマワリの花を見るとよく判りますが、外側の花には黄色い花弁がありますが、中側の花には花弁らしいものは有りません、これがキク科の花の作りです。

 ところで、ノコンギクですが先に述べたように大変大世帯なので、よく似たものを集めて、科の下に「属」というグループを作りました。そしてノコンギクはシオン属に分類されました。私たちがよく間違えるヨメナは田の畦など湿ったところを好み葉もざらつきがないので見分けはつきますがこれは分類からヨメナ属に入りまあ遠い親戚ぐらいでしょうか。

 話は変わりますが、伊藤左千夫の小説に「野菊の墓」があります。1906に雑誌ホトトギスに発表された伊藤左千夫最初の小説だそうですが題名の「野菊」が気になって図鑑を繰って見ました。幾つかの図鑑に〔野菊〕という植物は記載されて居りません。ハマベノギク、ヤマジノギク、ノジギク、ノコンギクなどありますが、小説のイメージからすると「ノコンギク」ではないかと思うのですが如何でしょう。俳句歳時記には山野に自生する小菊の総称とあります。

         野菊折る手許に低し伊豆の嶋  正岡 子規



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