オオオナモミ                きく科
2011年11月28日

 メキシコ原産、あるいは北アメリカ又はユーラシア原産と図鑑によって原産地が違っていますが1929年岡山県で見つかったとあります。何れにしても帰化植物です。「ヒッツキ虫」でよく知られています。川原に「アレチウリ」がはびこるので地元の人たちが何年もかかって「アレチウリ」の芽生えを抜いて「アレチウリ」退治に骨を折りましたが、そのあとへ今度は「オオオナモミ」がはびこりました。

 秋になるともう川原へは入れません。オオオナモミの実が体じゅうにくっつくのです。花は雌雄別で目立たない花ですが実になると全くの嫌われ者になります。実の大きさは18〜25mm位ですから丁度小粒のピーナッツぐらいでしょうか、周りに棘がいっぱい生えていてその先が鈎のように曲がっているので簡単に服にくっつくのです。

 植物は種子を散布するのにいろいろな方法を考えています。風に乗って飛ばされるもの、動物に食べられて運んで貰うもの、動物などにくっついて運ばれるものなどです。ひっつき方もいろいろあり、堅いフック型―オオオナモミ、ダイコンソウなど、柔らかいフック型―アレチヌスビトハギ、ミズタマソウなど、逆さトゲ型―コセンダングサ、ササクサなど、ヘアピン型―ヒナタイノコズチなど、ひっつくと取るのに難儀します。

 もっとも、「ヒッツキムシ」をヒントにした製品もあって大変重宝されているものもあります。ボタンやファスナーの代わりに使われる(面ファスナー)商品名「マジックテープ」です。1950年代にスイス人のジョルジュ・デ・マエストラルさんが発明されたもので、日本で使われている商品名「マジックテープ」は1960年代に(株)クラレが「着脱自在な魔法のテープ」という意味で付けた商品名で、登録商標だそうです。

 話が横道へそれましたが、オオオナモミの実の表面トゲトゲのあるところは総苞の変化したもので「果苞」と呼ばれトゲの先が曲がってフックになり動物にひっつくのです。実を切ってみると中に大小2つの種が入っています。ある図鑑では小さい種は発芽能力が無いと説明していますが、別の図鑑では、昨年の枯れた茎の根元の横から2年休眠した種が発芽したそうです。休眠する時間に差のある理由は一斉に発芽して、急な環境の変化で絶滅する危険を避けるため保険をかけているのではないかということです。私は実験してはおりません。      



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